女教皇ヨハンナ (上)

女教皇ヨハンナ (上)

女教皇ヨハンナ (下)

女教皇ヨハンナ (下)

グルメネタがないので最近読んだ本の紹介などを。

(出版社サイトより)
ローマ教皇庁は頑なに彼女の存在を否定し、公式記録から抹消した。なぜか?陰謀渦巻く中世ヨーロッパを舞台に、ヴァチカン最大のタブーに迫る、歴史大河小説。

久しぶりに夢中になって真夜中まで読んでしまった歴史小説だ。中世ヨーロッパという、あまり日本人には馴染みのない時代を舞台としている。中世ヨーロッパといえば一般的には白雪姫やシンデレラのような御伽噺的舞台をイメージするのかもしれないが、この本に描かれている中世(9世紀)は迷信と頑迷に凝り固まったまさに「暗黒時代」と呼ぶに相応しいものだ。女性を罪深い劣ったものとして断罪していた初期キリスト教の負の側面、蛮族の侵入によるローマ帝国滅亡以来の西ヨーロッパの混乱、ノルマン人劫掠の恐怖など、実に生々しく描き出されている。この本はそのような混沌とした希望の少ない社会の中、ヨハンナという女性が男社会の中でいかに生き抜き、教皇というキリスト教界至高の座に上っていったかをドラマチックに描き出した傑作である。機会があればぜひ一読してほしい。男女の関係のあり方、社会のあり方、政治のあり方、あらゆる事について考えさせられる事だろう。

この小説は既に映画化が決まったとのこと。上映の際には是非見に行きたいと思う。